ATAD社と弊社は2021年から戦略的パートナーとなり、相互支援し協力分野を多様化しています。海外市場の開拓と拡大を目標に、両社は常に企業イメージを多面的に紹介し宣伝しています。弊社は、日本の鉄鋼関連ニュースで有名な鉄鋼新聞社の黒澤広之氏とともに、2025年4月にATAD社ドンナイ第3工場を訪問し、その紹介記事が掲載されました。これにより、鉄骨構造分野におけるATAD社の能力と優位性が海外顧客やパートナーに対してさらに広く知られることになりました。
以下、記事の引用。
現地ルポ/兼松出資の越ATAD/第三工場増設、年産能力20万トンに拡大
兼松が出資し持分法適用会社とするベトナムのシステム建築最大手、ATADスチール・ストラクチャーは昨年に創業20年を迎えると共に、ドンナイ省で第3工場を立ち上げた。ロンアン省の工場含め鋼構造物の年産能力は20万㌧近くに拡大し、足元では越国内での大型プロジェクト向けで活況をみせている。ATAD(アタッド)を現地で取材した。(ベトナム・ドンナイ省=黒澤広之)
04年に創業したATADは、翌年にホーチミンシティの西、ロンアン工場で操業を開始。17年には北東のドンナイでも工場を立ち上げた。6万平方㍍のロンアン工場に対し、ドンナイ工場は15万1千平方㍍と倍以上の広さ。規模拡大だけでなく、製品もPEB(プレ・エンジニア―ド・ビルディング)や従来の鋼構造物から、高度な鋼構造物へとシフトしてきている。
もともとATADは技術で差別化できる大型プロジェクト向けに力を入れてきた。空港や駅、工場や洋上風力向けのジャケットなど様々な実績を重ねており、目下最大の案件は鉄骨使用量4万㌧に上るドンナイ省で建設中のロンタイン国際空港だ。ATADはトルコ企業とのコンソーシアムで受注を果たし、鋼構造物並びに主要な天井構造部の供給を担っている。
共同創業者の一人で、フィン・グォック・ドン会長兼CEOと共にゼネラル・ダイレクターとして経営を担うグエン・レー・アイン・トゥアン氏は「空港は鋼構造のシンボル。取組実績も多く、、我々が培ってきた設計、製造や組立技術が発揮できる分野」と注力する意義を語る。
Nguyen Le Anh Tuan - General Director
ATADはダナン国際空港、フーコック国際空港、また、先日オープンしたばかりのタンソンニャット国際空港・第3ターミナルや、海外では日本のODA案件としてラオスのビエンチャンで手掛けたワッタイ国際空港などへ部材を納めてきた。
経験豊富なATADにとっても、今回のロンタイン空港は特別な案件という。中央エリアの天井部は世界でも珍しいトラス構造で、その重量は5300㌧にもなる。大きいだけでなくバランスなど高度な技術が求められ、その設計やファブリケーション、組立をATADが担当している。今はこの天井部のリフトアップ作業が問題無く完了し、部材供給が佳境を迎えており、トゥアン氏は「完成時には世界に誇る我々の重要な実績になる」と意気込む。
この一大プロジェクトを支えているのが、昨年4月に稼働し始めたドンナイの第3工場だ。ロンタイン空港はじめ長期的にメガプロジェクトへ対応すべく増設したもので、イタリア製の機械加工、溶断、溶接や曲げ加工設備を導入。より大型の鋼構造物を造る体制を整えた。第3工場の構内は多くの製品がひしめき、昼休みの時間帯も所々で溶接作業が続くなど活気に満ちている。
越国内だけでなく、アフリカや欧州、米国といった海外案件の獲得も進み、国内と海外の販売比率を各50%とする従来目標にも到達した。トゥアン氏は「ベトナムには海外企業からの投資が集まり国際企業のグローバルファクトリーになっている。こうした工場向けや、ローカル企業向けでは高速道路や空港といった数多くのプロジェクトがある。米国の関税政策で不透明感はあるものの、政府は上手く対処してくれるのではないか」と当面の見通しに自信をみせる。
新興企業が多いベトナムにあって20年の歴史を持つ会社はそう多くない。次なる10年に向けトゥアン氏は「持続的、安定的な成長を目指していく」と話す。兼松とのパートナーシップで海外市場の開拓や鋼材調達、ガバナンスなどグローバルカンパニーたる素養を磨きながら、ベトナムにおける鋼構造物のリーディングカンパニーとして堅実に地歩を固めていく考えだ。
Source: Hiroyuki Kurosawa (2025), Japan Metal Daily
ATAD社は今年4月に運用開始したタンソニャット国際空港・第3ターミナルでも、鋼構造物の製造・組立で貢献しています。
Inauguration of Terminal T3 – Tan Son Nhat International Airport - ATAD Steel Structure Corporation